枡添の「努力するものが報われる」のレトリック

 最近の政権は、「努力するものが報われる社会」という言い方をする。言外に平等・助け合い・協力・弱いものの手助けをする、と言う類のことばを貶めるために作為的に会話に中に挿入される。福祉政策はマイナーであり、経済効率や規模が絶対的指標である、真っ先にこの経済に貢献するものを大事にするべきだ、との価値観だ。
 しかし、社会は個体ごとに純粋に生産性や貢献が取り出しできるものではない。些細な営みがなければ、華々しく、目立つ生産行為もまったく無意味になるものだ。共同生産社会であるにもかかわらず、最近のこうした分割思考が著しいのは、アメリカ方式の株主優位、資本優位に組するようになった日本経営の敗北にある。